プライマリーバランス
国の家計簿?「プライマリーバランス」についてお兄ちゃんに聞いてみた!

【ひより】
ねえねえ、お兄ちゃん。さっきニュースを見てたら「プライマリーバランスの黒字化」って言葉が出てきたんだけど……これって結局どういう意味なの?
「バランス」って言うくらいだから、何かのバランスをとるってことだよね?
平均台の上でフラフラしてる日本、みたいなイメージかな。

【智宏】
……ひより、そのイメージだと少し危ういな。まあ、あながち間違いでもないが。
プライマリーバランス(PB)というのは、日本語で言うと「基礎的財政収支」のことだよ。
簡単に言えば、「国が借金(公債)を除いた収入で、その年の政策経費をどれだけ賄えているか」を示す指標のことだ。

【ひより】
うーん、漢字がいっぱい……。
借金を除いた収入ってことは、私たちが払っている税金とかのこと?

【智宏】
その通り。まず、国の収入には「税金」や「税外収入」があるよね。
一方で、支出には「社会保障費」や「公共事業費」、「防衛費」など、国民のために使うお金がある。
この「その年の収入」と「その年の支出」の差を比べるのがプライマリーバランスなんだ。
ただし、一つ大きなルールがある。「過去の借金の返済(元本払)と利子の支払い」は、この計算には入れないんだよ。

【ひより】
えっ、借金の返済を入れないの?
それって、借金があることを無視して、「今月のお給料だけで生活できてるかな?」って確認する感じ?

【智宏】
いい例えだね。ひよりにしては冴えている。
例えば、ひよりがバイトで10万円稼いで、生活費に9万円使ったとする。
この場合、1万円の黒字だよね。でも、実は過去に僕から借りたお金の返済が毎月2万円あったとしたら、トータルでは赤字になる。
でも、プライマリーバランスを見る時は、その僕への返済分は一旦脇に置いておくんだ。
「今の自分の稼ぎだけで、今の生活を維持できているか」をチェックするのが目的なんだよ。
プライマリーバランスが「黒字」と「赤字」はどう違う?

【ひより】
なるほど。じゃあ、「プライマリーバランスが黒字」っていうのは、今の税収だけで今の行政サービスがちゃんとまかなえてるってことなんだね。

【智宏】
その通り。逆に「赤字」ということは、「今の生活費を払うために、さらに新しい借金をしている」という状態を指すんだ。
日本はずっとこの赤字の状態が続いている。
つまり、橋を作ったり、おじいちゃんおばあちゃんの医療費を助けたりするためのお金が足りなくて、足りない分を「国債」という名の借金で埋めているんだ。

【ひより】
ええっ、それって大丈夫なの?
私だったら、お兄ちゃんに借金して、その利子を払うためにさらに別の友達から借金する……みたいな感じだよね。
それ、いつか破綻しちゃいそうで怖いかも。

【智宏】
理屈の上ではそうだね。だから政府は、まずはこのプライマリーバランスを黒字にすることを目標にしているんだ。
「新しい借金に頼らずに、その年の予算を組めるようになろう」っていうのが「財政健全化」の第一歩とされている。
もし黒字になれば、そこから余ったお金を過去の借金の返済に回せるようになるからね。

【ひより】
そっか。借金を返すためにも、まずは今の生活を黒字にしなきゃいけないんだ。
お兄ちゃん、日本はずっと赤字って言ってたけど、いつになったら黒字になるの?

【智宏】
政府は「2025年度」に黒字化するという目標を掲げているけど、なかなか厳しい道のりだよ。
高齢化で社会保障費がどんどん増えているし、最近は防衛費の増額や少子化対策も必要になっているからね。
支出を減らすか、税金を増やすか、あるいは経済を成長させて税収を増やすか……。
どれも簡単じゃないのはわかるだろう?
「家計」と「国」は同じなの?

【ひより】
うう、聞いているだけでお腹が空いてきちゃった……。
でもね、お兄ちゃん。一つ気になったんだけど、国のお金って、私たち個人の家計と同じように考えていいのかな?
なんか、テレビで「国は自分でお金を発行できるから、家計とは違うんだ!」って言ってる人もいた気がするんだけど。

【智宏】
お、鋭い質問だ。それは「積極財政派」と呼ばれる人たちがよく主張する意見だね。
確かに、国には「通貨発行権」がある。
ひよりがいくら頑張っても、家で「ひより円」を印刷して買い物には行けないけど、国は日銀と連携してお金を供給することができる。
だから、「自国通貨建ての借金なら、破綻することはないから、PBの黒字化なんて気にしなくていい」という考え方もあるんだ。

【ひより】
えっ、そうなの?
じゃあ、無理に節約してサービスを削ったり、増税したりしなくてもいいってこと?

【智宏】
話はそう単純じゃない。
もし無限にお金を発行して使いすぎたら、世の中にお金があふれて、お金の価値が下がってしまう。
つまり、猛烈なインフレ(物価高)が起きるリスクがあるんだ。
ひよりの好きなコンビニのスイーツが、明日には1万円になっていたら困るだろう?

【ひより】
それは絶対イヤ! 1万円あったら、もっとたくさん食べたいもん。

【智宏】
だろう。だから、財政のバランスを考えるときには「インフレ率」との兼ね合いが重要になる。
一方で、あまりにプライマリーバランスの黒字化にこだわりすぎて、必要な投資(教育や科学技術、インフラ整備など)をケチってしまうと、将来の日本の成長が止まってしまうという批判もある。
「健康診断の結果を良くするために、食事を一切抜いて体を壊す」みたいなことになったら本末転倒だからね。
私たちの生活とプライマリーバランス

【ひより】
難しいなあ……。
「借金は返さなきゃいけないから、まずは黒字にしよう」っていうお兄ちゃんの意見もわかるし、「国は家計とは違うから、もっと積極的にお金を使って経済を元気にしよう」っていう意見も、どっちも正解に見えちゃう。

【智宏】
数学のように一つの絶対的な正解がないのが、経済政策の難しいところであり、面白いところでもあるんだ。
ただ、ひよりが覚えておくべきなのは、プライマリーバランスはあくまで「手段」であって「目的」ではないということ。
一番大事なのは、国民が豊かに、安心して暮らせるかどうかだ。
そのために、今は借金をしてでも未来に投資すべきなのか、それとも将来世代にツケを回さないために今は耐えるべきなのか。
僕たちはその議論を冷静に見守る必要がある。

【ひより】
そっか。どっちの言い分も「みんなが幸せになるため」の方法を考えてるってことなんだね。
なんだか、お兄ちゃんがたまに理屈っぽくて面倒くさいのも、私のことを考えてくれてるからなのかな……って、今だけは思っておいてあげる。

【智宏】
……「今だけ」かよ。
まあいい。理解が深まったなら、緑茶でも淹れてくれないか?
僕も少し話しすぎて喉が渇いた。

【ひより】
いいよ! じゃあ、お茶請けに買っておいた冷蔵庫のプリンも半分こしよ。
あ、でもこれは私の「スイーツ収支」の中では特別費だから、お兄ちゃんが後で何か奢ってね!

【智宏】
それはただの「たかり」だろう。
プライマリーバランスを考える前に、自分の家計の健全化を目指したらどうだ?

【ひより】
あはは、それはまた今度!
今日は「PB」について少し詳しくなれたから、大満足だよ。
お兄ちゃん、解説ありがとう!
