実質GDP
お兄ちゃんに教わる!「実質GDP」って結局なにがすごいの?

【ひより】
ねえねえ、お兄ちゃん。ちょっと教えてほしいんだけど……。
さっきニュースを見てたら「日本の実質GDPがプラス成長でした!」ってキャスターの人が嬉しそうに言ってたんだよね。
でも、その後に「名目GDPはもっと高いです」みたいなことも言ってて、もう頭の中が「?」でいっぱいになっちゃった。
GDPって「国内総生産」だよね? ひとつにまとめてくれたらいいのに、なんで「実質」とか「名目」とか分けるの?

【智宏】
お、ひよりがまた難しい顔をしてブログのネタ探しをしてるな。
いいよ、ちょうどキリが良いところだったし説明してあげよう。
お前が言う通り、GDP(Gross Domestic Product)は「国内で一定期間に新しく生み出されたモノやサービスの合計金額」のことだ。
だけど、実はそれだけだと「本当に経済が成長しているのか」が正しく判断できないんだよ。

【ひより】
ええっ、そうなの?
金額が増えてたら、みんなが頑張ってたくさん働いたってことじゃないの?

【智宏】
それがそうとも限らないんだ。
じゃあ、ひよりが好きな「ラーメン」で例えてみようか。
例えば、日本にラーメン屋さんしかないと仮定するよ。
去年は1杯500円のラーメンが100杯売れたとする。この時のGDPはいくらになる?

【ひより】
えーっと、500円かける100杯だから、50,000円だね!

【智宏】
正解。じゃあ、今年は物価が上がって、ラーメンが1杯1,000円になったとする。
でも、景気が悪くて、売れたのは去年と同じ100杯だけだった。
この時のGDPはいくらだい?

【ひより】
1,000円かける100杯だから……100,000円!
あ、数字だけ見ると、去年の5万円から10万円に倍増してる!

【智宏】
そうだよね。この「10万円」という、その時の価格でそのまま計算した数字が「名目GDP」なんだ。
でも、よく考えてみて。ラーメンの数は100杯のままで、去年と何も変わっていないだろう?
値段が上がっただけで、世の中が豊かになったと言えるかな?

【ひより】
うーん……。数字は増えてるけど、食べてる人の数は変わらないし、お店の人が作った量も同じだもんね。
なんか、騙された気分。

【智宏】
その「騙された気分」を解消するためにあるのが「実質GDP」なんだ。
実質GDPは、物価の変動による影響を取り除いて、「実際にどれくらいモノやサービスの生産量が増えたか」を計算したものなんだよ。
「名目」と「実質」の決定的な違い

【ひより】
物価の影響を取り除く……? どうやってやるの?

【智宏】
簡単に言うと、「基準になる年の価格」で固定して計算し直すんだ。
さっきの例で言うと、去年の「500円」を基準にする。
今年の売上も、今年の価格(1,000円)ではなく、基準の価格(500円)で計算するんだ。
そうすると、500円×100杯で、実質GDPは50,000円のままになる。

【ひより】
あ! それなら「生産量は増えてないから、経済は成長してないね」ってことがすぐわかるね!
なるほど、実質GDPは「量の変化」を見てるんだ。

【智宏】
その通り。数学的に言えば、「金額 = 単価 × 数量」だけど、
名目GDPは「金額」の変化を追い、実質GDPは「数量」の変化を追っているイメージだね。
だから、僕たちが本当に「日本は豊かになったのかな?」とか「景気は良くなったのかな?」と知りたい時は、この実質GDPの伸び率(経済成長率)を見るのが一般的なんだ。

【ひより】
さすが理系のお兄ちゃん、説明が理詰めだけど分かりやすいかも。
じゃあ、もしラーメンが1杯1,000円になっちゃったけど、頑張って120杯売れたとしたらどうなるの?

【智宏】
いい質問だね。
その場合、名目GDPは「1,000円×120杯=120,000円」。
実質GDPは、基準価格で計算するから「500円×120杯=60,000円」になる。
名目は2.4倍に跳ね上がっているけど、実質で見れば「5万円から6万円に増えた」、つまり「20%の成長だ」と冷静に判断できるわけだ。
なぜ「実質」がそんなに大事なの?

【ひより】
でもさ、お兄ちゃん。お店の人からしたら、実際に入ってくるお金は「12万円(名目)」の方だよね?
お金がたくさん入る方が嬉しい気がするんだけど、なんでニュースはあんなに「実質、実質」って言うの?

【智宏】
それは、国民の生活水準に直結するからだよ。
例えば、給料が2倍になったとしても、世の中のモノの値段が全部3倍になっていたら、生活は苦しくなるだろう?

【ひより】
あ……。確かに。コンビニのスイーツが全部3倍の値段になったら、私のバイト代がちょっと増えたくらいじゃ全然足りないや。

【智宏】
だろう?
名目GDPが増えていても、それが単なるインフレ(物価上昇)のせいだとしたら、国全体で使えるモノの量は増えていない。
むしろ、物価の上がり方に給料が追いついていなければ、生活はどんどん貧しくなってしまう。
だから、「実際にどれだけ多くのモノを作り出し、消費できるようになったか」を示す実質GDPが、経済の体力を測るバロメーターとして重視されるんだよ。

【ひより】
そっか。本当の意味で「みんなが豊かになったか」を知るためには、数字の魔法(物価上昇)を解かなきゃいけないんだね。
お兄ちゃん、たまには良いこと言うじゃん!

【智宏】
「たまには」は余計だよ(笑)。
ちなみに、名目GDPを実質GDPで割った数値のことを「GDPデフレーター」って言うんだけど、これが「1」より大きいか小さいかで、その国がインフレなのかデフレなのかが分かったりもするんだ。

【ひより】
ううっ、急に専門用語を出さないでよ。
せっかく緑茶を淹れてあげようと思ったのに、難しくなるとお茶の味が苦くなっちゃう。
実質GDPから見える「日本の今」

【智宏】
ははは、すまない。
でも、最近の日本を理解する上では、この「名目」と「実質」の差はすごく重要なんだ。
最近は原材料費が高くなって、いろんなものが値上げされているよね?

【ひより】
うん、お気に入りのカフェのラテも値上がりしちゃって、ちょっと悲しいもん。

【智宏】
そうだよね。そうすると、売上の金額(名目)は増えやすいんだけど、みんなが高いから買い控えたりして、実際に売れた量(実質)はあまり増えていない……なんてことが起こる。
ニュースで「名目はプラスだけど実質はマイナス」なんて言われる時は、「物価ばっかり上がって、実際の景気は冷え込んでいる」っていう、あんまり良くない状態を指していたりするんだ。

【ひより】
なるほど……。
「GDPが増えた!」っていう言葉だけで喜んじゃダメなんだね。
中身が「値段が上がっただけ」なのか、「本当にみんながたくさんモノを作って、たくさん売れた」のかを見極めないと。

【智宏】
その通り。ひよりも少しずつ経済がわかってきたじゃないか。
ブログに書くなら、「実質GDPは、物価というフィルターを通した後の、経済の本当の姿」みたいな感じでまとめると、読者の人にも伝わりやすいんじゃないかな。

【ひより】
「経済の本当の姿」……! なんだかカッコいい!
よし、早速ブログにまとめてみるね。
お兄ちゃん、解説ありがとう。お礼に美味しいお茶を淹れてあげるから、ちょっと待ってて。

【智宏】
ああ、楽しみにしてるよ。
……あ、待てよ、ひより。お茶を淹れてくれるのは嬉しいけど、昨日僕が買っておいた冷蔵庫のプリン、勝手に食べたの、お前だろう?

【ひより】
……あ、バレた?
えへへ、あれも私にとっての「実質的な栄養」になったから、許してね!

【智宏】
全く、そういう時だけ「実質」を都合よく使うんじゃないよ……。
