実質金利
お金の価値が変わる?「実質金利」の正体を兄に聞いてみた!

【ひより】
ねえねえ、お兄ちゃん。ちょっと聞いてもいい?
最近、ニュースとかSNSで「実質金利」っていう言葉をよく見かけるんだけど……。
金利は金利だよね? なんでわざわざ「実質」なんて言葉がついてるの?
銀行に預けたときにもらえる利子のことじゃないのかなぁ。

【智宏】
(読みかけの専門書から目を上げて)
……お、今日は珍しく経済の勉強をしてるんだね。
ひよりが言っている「銀行の通帳に書かれる利率」は、正確には「名目金利」って呼ぶんだよ。
でも、僕たちが本当の意味で「得をしたか損をしたか」を判断するには、その数字だけを見てちゃダメなんだ。

【ひより】
えっ、数字だけ見てちゃダメなの?
例えば「金利1%」って言われたら、100円預けたら1年後に101円になるってことでしょ?
それって、1円増えてるからハッピーじゃない?

【智宏】
それがそうとも限らないんだよ。
じゃあ、ひよりが好きな「1個100円のショートケーキ」で考えてみようか。
今、ひよりは100円持っている。でも、今は食べずに1年間銀行に預けることにした。
名目金利が1%なら、1年後には101円になるよね。

【ひより】
うん。1円お得だよね。その1円で、トッピングとか増やせるかも……?

【智宏】
ところが、この1年の間に世の中の物価が上がって、ケーキの値段が105円になっちゃったとしたらどうかな?

【ひより】
……あ! 101円持っていても、105円のケーキは買えない……。
ええっ、せっかく我慢して預けたのに、ケーキが買えなくなっちゃうの!?

【智宏】
そう。それが「実質」の意味だよ。
お金の「額面」が増えても、それ以上に「物の値段(物価)」が上がってしまうと、お金の価値は相対的に下がってしまう。
この「物価の変動を考えに入れた本当の金利」のことを実質金利と呼ぶんだ。
実質金利を計算する「魔法の方程式」

【ひより】
なるほど……。数字が増えても、買えるものが減っちゃったら意味ないもんね。
でも、それをどうやって計算すればいいの?

【智宏】
実はすごくシンプルな式があるんだ。経済学では「フィッシャー方程式」なんて呼ばれることもあるけど、基本はこれだけ。

【ひより】
名目金利……さっきの「銀行の利率」だよね。
インフレ率は「物価がどれくらい上がるか」の予想?

【智宏】
その通り。
さっきのケーキの例で言えば、名目金利が1%で、物価が5%上がったわけだから……。
1% - 5% = マイナス4%。
これが実質金利だ。つまり、実質的には「預けているだけで価値が4%減ってしまった」ということになる。

【ひより】
マイナス!? お金を預けてるのに減っちゃうなんて、なんだか詐欺みたい……。
お兄ちゃん、これって今の日本でも起きてることなの?

【智宏】
いいところに気づいたね。
最近の日本は、銀行に預けてもつく利息(名目金利)はすごく低いのに、電気代とか食品の値段はどんどん上がっているだろう?
つまり、「実質金利がマイナスの状態」が続いているんだ。
実質金利が「マイナス」になると、世の中はどうなる?

【ひより】
実質金利がマイナスってことは、みんな損してるってことだよね。
だったら、誰も銀行にお金を預けなくなっちゃうんじゃない?

【智宏】
理屈の上ではそうなるね。
でも、実はそれが「経済を動かすための作戦」だったりもするんだ。

【ひより】
作戦? 誰の?

【智宏】
日本銀行とかの、政策を決める人たちのさ。
実質金利がマイナスということは、「銀行に預けておくよりも、今すぐお金を使ったほうがいい」とか「今のうちに設備投資をして事業を広げよう」と考える人が増える。
タンスにお金を眠らせておくより、世の中にお金を回したほうが景気が良くなる、という考え方だね。

【ひより】
うーん、確かに「来年にはもっと高くなっちゃうから、今のうちに買っちゃおう」っていうのはわかるかも。
でも、私みたいにコツコツ貯金して、美味しいものを食べに行こうと思ってる人にとっては、ちょっと悲しいなぁ。

【智宏】
そうだね。実質金利が低いと、お金を借りる人(企業など)にとっては有利だけど、お金を貸す人や貯金をしている人にとっては不利になる。
ひよりが「最近、チューハイとおつまみの買い出しでお金がすぐなくなる」って嘆いてたのも、実質金利の影響かもしれないよ。

【ひより】
あ、それはただ私が飲みすぎてるだけかも……。
……って、お兄ちゃん! さりげなく私のこと「お酒飲みすぎ」って言ったでしょ!

【智宏】
(苦笑いしながら)
いや、事実を指摘したまでだよ。
でも、こうやって「実質金利」で見ると、経済のニュースがもっと身近に感じられるだろう?
円安の影響とかも、この実質金利の差で説明できる部分が多いんだ。
どうして「実質金利」が注目されるの?

【ひより】
ねえ、お兄ちゃん。実質金利が大事なのはわかったけど、どうして投資家の人たちもみんなこれを気にしてるの?

【智宏】
それは、「お金は実質金利が高いところに集まる」という性質があるからだよ。

【ひより】
……どういうこと?

【智宏】
例えば、アメリカの実質金利が「プラス3%」で、日本の実質金利が「マイナス2%」だとする。
ひよりが大金持ちだとしたら、どっちの国でお金を持ってたい?

【ひより】
それはもちろん、持ってるだけで価値が増えるアメリカかな!

【智宏】
そうだよね。だから、世界中のお金が日本円を売って、米ドルに流れていく。
これが「円安」が進む一つの大きな要因なんだ。
名目上の金利(見た目の数字)だけじゃなくて、物価を引いた「本当の稼ぎ」がどれくらいあるかで、世界のお金は動いているんだよ。

【ひより】
そっか。だからニュースでは「金利」と「物価」をいつもセットで話してるんだね。
やっと繋がった気がする!
まとめ:賢く生きるための「実質」の視点

【智宏】
よし、じゃあ今日のまとめをしようか。
実質金利を理解するポイントは3つ。

【ひより】
お兄ちゃん、ありがとう!
今まで「銀行の利息、全然つかないな〜」ってことしか考えてなかったけど、物価の動きと一緒に見なきゃいけなかったんだね。
経済学部生として、一歩前進したかも!

【智宏】
ははは、そうだね。
その調子で、自分の持ってるお金の「実質的な価値」を意識して生活してみるといいよ。
……ところで、さっきから緑茶のいい香りがしてるんだけど。

【ひより】
あ、忘れてた!
お兄ちゃんに教わったお礼に、美味しいお茶を淹れたんだった。
ついでに、この前無印良品で買ってきたバウムクーヘンも一緒に食べよ?

【智宏】
それはいい提案だ。
でも、そのバウムクーヘンも、去年より少し小さくなったり、値段が上がったりしてないかい?
それも一種の「実質」的な価値の変化だよ。

【ひより】
もう! せっかくお茶の時間なんだから、今は理屈っぽい話はナシ!
はい、お兄ちゃんの分。感謝して食べてよね!

【智宏】
(苦笑いして)
はいはい、いただきます。
……うん、お茶の淹れ方だけは、確かに上達してるみたいだね。
