国際法
そもそも「国際法」って何?国同士のルールの基本

【ひより】
ねえお兄ちゃん、最近ニュースで「国際法違反」っていう言葉をよく聞くじゃない?
なんだか難しそうだけど、そもそも国と国の間の法律って、誰が決めてるの?
日本の法律なら国会で決めるって授業で習ったけど、世界中に「世界政府」があるわけじゃないし……。
あ、これ、お土産のシュークリーム。食べながらでいいから教えて!

【智宏】
お、ありがとう。ちょうど糖分が欲しかったところだ。
ひより、いいところに気づいたね。確かに地球には「世界政府」も「世界大統領」も存在しない。
それなのに「法」があるのは不思議に思うかもしれない。
「国際法」を一言で言えば、「主権国家」同士が合意して作ったルールのことを指すんだ。

【ひより】
しゅけんこっか……?
あ、自分の国のことは自分で決められる権利を持った国のことだっけ。
でも、誰かリーダーがいないのに、どうやってルールを作るの?

【智宏】
基本的には「合意」だよ。
大きく分けて2つの形がある。
一つは「条約」。これは国と国が「これを守りましょう」と文書で約束するものだね。
もう一つは「国際慣習法」。これは文書にはなっていないけど、長い間の歴史の中で「これが当たり前のルールだよね」とみんなが認めている習慣のことだよ。

【ひより】
なるほど!文書の約束と、みんなの暗黙の了解ってことか。
でもさ、もし悪いことをした国が「そんなの知らないもん!」って言ったらどうなるの?
日本の法律だったら、警察に捕まっちゃうよね。
国際法には「警察」がいない!?

【智宏】
そこが国際法の最大の特徴であり、難しいところなんだ。
国内の法律は「ピラミッド型」で、上に政府や警察がいて、国民にルールを守らせる。
これを「垂直的な秩序」と呼ぶこともある。
でも、国際社会は「横並びの秩序」なんだ。全ての国は対等だとされているからね。

【ひより】
ええっ、じゃあ「世界警察」はいないの?
アメリカとか、国連とかが逮捕しに来てくれるんじゃないんだ……。

【智宏】
厳密に言えば、強制的に逮捕したり処罰したりする組織は存在しないんだよ。
一応、国際司法裁判所(ICJ)という「裁判所」はあるけれど、裁判を始めるには原則として争っている両方の国が「裁判を受けます」と同意しないといけないんだ。

【ひより】
えー!それじゃあ、悪いことをしたもん勝ちじゃない?
だって、自分が負けそうな裁判にわざわざ「いいですよ」なんて言う国、いないでしょ。
なんだか、バドミントンの試合で審判がいないみたいな感じ……?

【智宏】
いい例えだね。審判がいないけど、選手同士がルールを守らないと試合自体が成立しなくなってしまう。
だから、国際法が守られるのは「罰があるから」というよりは、「ルールを守ったほうが、長期的には自分の国にとって得だから」という理由が強いんだ。
どうして国はルールを守るの?「経済」との関係

【ひより】
得だから……?
あ、そっか。経済学部で勉強してると、貿易の話がよく出てくるけど、あれも国際法だよね?

【智宏】
その通り。ひよりの好きなスイーツだって、輸入された小麦粉やバターがなければ作れないかもしれない。
もしある国が「勝手に関税をめちゃくちゃ上げます!」とか「輸入した代金は払いません!」なんて無茶苦茶なことを始めたら、誰もその国と商売しなくなるだろう?
そうすると、その国の経済はボロボロになってしまう。

【ひより】
確かに……。友達の間でも、約束を破りまくる人とは遊びたくなくなっちゃうもんね。
「信頼を失うこと」が、一番のペナルティってことかな。

【智宏】
そうだね。これを専門用語では「対抗措置」や「制裁」と呼んだりする。
ルールを破った国に対して、他の国が「じゃあ、お宅の国とは貿易を止めます」とか「資産を凍結します」といったペナルティを与えるんだ。
最近のニュースで「経済制裁」という言葉をよく聞くのは、まさにこの仕組みだね。

【ひより】
なるほど。警察はいなくても、みんなで仲間外れにしたり、お財布を締め上げたりすることで、ルールを守らせようとしてるんだ。
ちょっと怖いけど、そうやって世界のバランスが取れてるんだね。
国際法が変わる瞬間と、私たちの生活

【ひより】
でもさ、お兄ちゃん。
昔からのルールが、今の時代に合わなくなることってないの?
例えば、最近だとインターネットとか宇宙とか……昔の人は考えてなかったでしょ。

【智宏】
鋭いね。国際法は常にアップデートされているよ。
新しい技術が出てきたり、人権の考え方が変わったりするたびに、国連などで会議が開かれて、新しい「条約」が結ばれるんだ。
最近だと、気候変動に関する「パリ協定」なんかが有名だね。

【ひより】
あ、それ知ってる!
地球温暖化を止めるために、みんなでCO2を減らそうっていう約束だよね。
それも国際法の一部なんだ。

【智宏】
そう。ただ、国内法と違って、合意を作るのにすごく時間がかかるのが難点だけどね。
何百もの国の利害が対立するから、理屈だけじゃ通らないことも多いんだ。
僕の数学の証明みたいに、パシッと一筋縄ではいかないのが国際政治の泥臭いところだよ。

【ひより】
ふふっ、お兄ちゃんはすぐ理屈で考えちゃうからね。
でも、国際法がちゃんと機能しないと、私たちが安心してラーメンを食べたり、茶道のお稽古に行ったりすることもできなくなるかもしれないんだ。
そう考えると、ちょっと身近に感じてきたかも!

【智宏】
それはよかった。
国際法は「完璧な法律」ではないけれど、人類が戦争を避けて平和に暮らすために必死に作り上げてきた「知恵の結晶」でもあるんだ。
ひよりが政治や経済を勉強するなら、この「ルール(法)」の視点はこれからも役に立つと思うよ。

【ひより】
うん、ありがとう!
今日はなんだか、頭が良くなった気分。
あ、最後の一つ、そのシュークリーム、お兄ちゃんが食べていいよ。
「国際的な友情の証」として!

【智宏】
……ただの食べ残しじゃないだろうね?
まあいいや、ありがたく頂くよ。
次はもう少し、国際法の中でも「武力行使の禁止」について深掘りしてみるかい?

【ひより】
あー……それはまた今度でいいかな!
今は氷結のレモン味を飲みながら、のんびりテレビを見たい気分なんだもん。

【智宏】
(苦笑いしながら)……やれやれ、やっぱりひよりはひよりだね。
